ある日曜日の昼下がりの会話

東京は眠らない。

ある日曜日の昼間、ビールを飲みながらSと話していた。Sは海外暮らしが長い二十代後半の男で、東京に来て1年になるところだった。

Sは友人何人かと家を共同で借りて住んでいた。場所は三軒茶屋だった。いくつかの仕事を掛け持つSと会うのは、三軒茶屋からアクセスも良く、Sの仕事場からも遠くない、渋谷が多かった。

Sは大酒のみだった。会う約束をしていてもしょっちゅうすっぽかされた。二日酔いなのだ。Sと友達は暇と金さえあれば大いに飲み明かしていた。眠らない街でSとSの友人のような野郎共がすることといえば、バーからバーへ、居酒屋から居酒屋へ渡り歩き、日の出を見て就寝することだった。Sはゴールデン街が気に入っていた。あのうらぶれて毒々しいながらも、歓楽街としての趣が、Sの心を揺さぶるのだという。

「そんなに無茶ばかりして」私はSに言った。「そのうち体壊すぜ。」

Sは二日酔いの疲れた顔でニヤリと笑い「かもね。だからそうならないように、一生懸命飲んで肝臓を鍛えてるんだよ。」と答えた。ビールを飲みながらそんな台詞を吐くSを見て、私は思わず苦笑いした。